拍手お礼小説1
直樹は風邪、五助と六助は急に葬儀が入ったと連絡がきたのは昨日の夜。
明日のフットサルは中止かと思ってたら、二人でブラつくか、なんて電話がかかってきて。
思いがけずマサキと二人きりという状況に、昨日から僕の顔は緩んだままだった。
待ち合わせ場所には少し早めに着いたはずなのに、いつもマサキは先に来ている。
人混みの中、待っててくれるマサキを見つけるとすごく嬉しくなる。
けれど。
それは何も僕との待ち合わせに限ったことじゃないから。
例えば他の誰かと。
例えば・・・恋人と待ち合わせる時もきっと先に来てるんだと思うと、少し、苦しくなる。
これから遊びに行くのにこんな顔してちゃダメだ。
今の考えを振り払うようにわざと大きく頭を振る。
折角二人きりなんだし楽しまなきゃと思いながら顔を上げる。
でも、笑顔を作ろうとしていた僕の顔は、笑顔を作ることはできなかった。
マサキは・・・綺麗な女の人と楽しそうに話していて。
僕はその場から動けず、ただただ立ち尽くしていた。
5分くらい経った頃。
彼女がマサキに手を振りながらこっちへ歩いてきた。
どうやら話は終わったみたいだ。
どうしよう、とマサキを見ると、ふいに目が合ってしまった。
翼、と手を軽く上げながらマサキが駆け寄ってくる。
マサキがいつもと同じだったから、僕もいつもと同じように答える。
「ごめん。待った?」
「いや大丈夫。どこ行く?」
「僕、映画見たいな。この間みんなで話してたやつ」
「じゃあそれ見に行くか」
他愛無い話をしながら歩き出す。
ゆっくり歩いてるはずなのに、僕の鼓動は普段より幾分か早い。
ただの友達かもしれない。
もしかしたら道聞かれてただけかも。
考えれば考えるほど心が騒ぐ。
あの人は誰?
どういう関係?
こんな女々しい自分がすごく嫌になる。
でも気になる。
ねぇ、マサキ。
どうしたらこの気持ちを届けられる?
どうすればもっと近づける?
ねぇ、マサキ。
好きだよ。
FIN → 柾輝ver
Web拍手お礼小説第1弾 翼ver。
(2007・4・7)