風 

 

 

 

青く澄み渡った空と
蒼く静かな海の真ん中で

白い百合の花を風に乗せました

 

私だけが時間の流れに置き去りにされた気がして

素直に叫ぶこともできず
ただただ声を押し殺して泣いた

あの頃の想いを託して

 

 

「ありがとう」

私に勇気をくれて

 

 

「ありがとう」

あなたとの出会いに

 

 

「忘れません」

たとえ世界があなたを忘れても

あなたの声は聞こえるから

 

 

 

目の前にあった白い雲も
随分遠くへ流れたから

 

きっと

風はあなたに届くでしょう

 

 

 

 FIN 

 

 


新山志保さんへ追悼詩。

(2005・4・4)

 

 

ばっく