――――― 星野が好き ―――――

 

そんな想いが、後から後から降ってきて、
今では土砂降りとなった。

 

誰か、この雨を止めてください―――――

 

 

 

 Rainy Heart 

 

 

 

降り始めた雨。
いつもは騒がしい公園も、今は私一人だけ。

よく『雨は私の心みたい』って聞くけど、まさに今の私にぴったり。

いつから、こんなに星野のことが好きになってたんだろう・・・。

 

 

 

「おだんご?」

不意に、後ろから呼ばれて振り返ると、星野が立っていた。

「星野・・・」

 

 

星野の事を考えてたら、本当に本人がいるからすごく驚いた。
でも、星野は私以上に驚いた顔をして、私に傘を差し出した。

「こんな所で傘も差さずに何やってんだよ?風邪引くぞ」

 

 

星野が少し呆れたように、でも優しく私に言う。
何だか嬉しくて、少し笑いながら「ありがとう」と返事をした。

 

「何があったか知らねーけど、元気出せよ!
くよくよしてるなんておだんごらしくねぇぞ?」

慰めるように星野が微笑む。
その笑顔を見ると、やっぱり好きなんだと実感してしまう。

 

 

 

何だかそれが妙に気まずくて、私は誤魔化すように話し出した。

 

「星野は・・・運命って信じる?」

星野が「運命?」と復唱する。
二人で屋根の方へ歩きながら、私が続ける。

「信じてもらえるかわからないけど、私の将来はもう決まってるらしいの。
誰と結婚するかも、これから何をしなければいけないかも」

 

 

 

とんでもない話を急に始めて、大笑いされるかと思ったけど、
星野は真剣に私の話を聞いてくれている。

 

 

 

「でも、よく考えたらさ、これってひどくない?
他の人を好きになっても諦めなきゃいけないんだよ?」

 

 

 

降り注ぐ雨。

 

 

 

「そりゃあ私、まもちゃんのこと好きだよ。
 結婚だってしたいって思ってた」

 

 

 

叶わぬ恋の雨。

 

 

 

「今だってまもちゃんのことは好きだけど、違うの。
今は・・・」

 

 

 

早く止めなきゃいけないのに。

 

 

 

「私、星野のことが・・・」

 

 

 

 

 

 

それでも・・・この想いは止められない・・・。

 

 

 

 

 

 

「――――― 好き・・・」

 

 

 

 

 

 

気が付けばあなただけを見てた。
いつも、あなたのことばかり考えてた。

 

 

 

土砂降りの雨。
もう、トマラナイ・・・。

 

 

 

 

 

ふと気付くと、私は星野の腕の中にいた。

「そんなに泣くなよ」

 

星野に言われて、初めて自分が泣いている事に気付く。

泣くつもりなんてなかったのに、
涙が、後から後から溢れてくる。

そんな私を見て星野が困った顔をしながら言った。

 

 

「俺は、運命なんて本当にあるのかわからない。
何もかも偶然だって言ってしまえばそれまでだし。
でも、本当に運命があるとしたらそれは、自分の手で切り開くものなんだと思う。
嫌な未来なら、全部ぶち壊して、新しい未来を作ればいいんだよ」

 

『壊す』なんて、今まで考えてもみなかったので、驚いて顔をあげる。
そんな私を見ながら、星野は優しく微笑む。

 

「俺は、何があってもずっとお前の傍にいる。
だからお前も、ずっと俺の傍にいてほしい。
二人が想いあっていられれば、きっと何とかなるさ!」

 

 

 

その言葉がすごく嬉しくて。
私は泣きながら何度も何度も頷いた。

 

無謀な事かもしれないけど、
星野がいれば、何でもできる気がした。

 

 

 

 

止まない雨。
あなたへの想い。

この想いを抱きしめて欲しい。

 

 

きっと、あなた以外にはできないから―――――

 

 

 

 FIN 

 

 


初めて書いた星うさ。
昔書いたやつをサイト用に少し加筆修正したもの。

(2004・11・23)

 

 

ばっく