狂愛 

 

 

 

「ユウ」

 

 

そのスペルを口にすれば、彼は決まって怒り出す。
そして次に浴びせられるお決まりのセリフ。

「その名を口にすんじゃねぇ!」

それが俺達の日常。
いつもの光景。

 

 

・・・だった。

 

なのに、最近の彼は。
この間入団したという新人エクソシストばかりを気にしてて。
「ユウ」って呼んでも、前ほど反応してくれなくて。

 

 

 

「ユウ」

「何だ?」

 

 

 

違う。

 

 

 

「ユウ」

「だから、何だ?」

 

 

 

違うんだ。

 

 

 

「ユウ!」

「さっきからうるせぇな!用もないのに呼ぶな!」

 

 

 

どうして分かってくれないんさ。

 

 

 

ガタン、と音を立てて相手の身体を組み伏せる。
軽く首筋に唇を寄せれば、彼がピクリと身体を震わせた。

「何しやがるバカウサギ!」

抗議と拒絶を含んだ声。
顔を上げれば、キッとこちらを睨む黒い瞳と視線がブツかる。

 

 

俺だけに向けられる眼差し。

 

 

「ユウが悪いんさ」

「はぁ?お前何言って・・・・・・んう!」

抗議の言葉を唇で受け止め、そのまま深く深く口付ける。

 

 

 

 

 

俺を見て。

 

 

もっと俺だけを見て。

 

 

他の奴なんか気にかけないで、只々俺だけを。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ユウ・・・助けて・・・」

 

 

小さく呟いた声は、きっと彼に届かない。

 

 

いっそ狂ってしまえたら、ユウは俺だけを見てくれるだろうか───。

 

 

 

 FIN 

 

 


ブログで突発的に書いた駄文第二弾。
ラビが思いっきり病んでてすみません。

(2008・11・14)

 

 

ばっく